強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
「もうっ、羽鳥さんって既婚者でも口説こうとするなんて最低だと思いますッ!」
「いや、別に口説こうとしてたわけじゃないと思うよ。あれはただ言いたいだけだと思う」
行きつけのオープンカフェで出汁のきいた分厚いたまごサンドを頬張り、アイスレモンティーで流し込む。木下ちゃんは注文したBLTサンドにはなかなか手を付けず、ロイヤルミルクティーちびちびとストローで吸い上げていた。
「いや、絶対そうとしか思えないです!! 最低!!」
「なんか木下ちゃんって、他の人の時はそうでもないけど、羽鳥さんの時はやけに噛みつくね」
「べ、別に羽鳥さんだからってわけじゃありませんッ! 既婚者にあんな言い方をするのはどうかと思うと自己の意見を主張したまでですッ」
彼女は結露して濡れているグラスをコースターに置き、BLTサンドに思いっ切りかぶりついた。
紙でできたコースターはじわじわと湿っていく。コースターの湿っていく様子を眺めていると、突如パッとある言葉が脳裏に浮かんだ。