強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
「私はほら! 結婚しているし、その気はないから安心して! 羽鳥さんだってもう少ししたらきっと私のことなんか微塵も思わなくなるよ!」
「そう……でしょうか……」
「そうそう! むしろ逆に突っかかるんじゃなくて木下ちゃんの可愛さを使って猛アピールしてこッ! 応援するから!」
「ありがとうございます……私、羽鳥さんに振り向いてもらえるように頑張ろうかな」
それから木下ちゃんとは恋バナになり、今後どうやって羽鳥さんにアピールしていくか作戦を練りながら、たまごサンドをたいらげた。
木下ちゃんは昼休み前の強張った顔からいつものおっとりした表情に戻っていた。
「一人で戻れそう? 私このまま先方との打ち合わせがあるんだけど……」
「はい、大丈夫です。暑くなるみたいなのでお気を付けて!」
昼休みを十五分残し、私は少し暑くなってきた外へ出て地下鉄に向かった。木下ちゃんと腹を割って話せた気がして足取りは軽かった。