強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

 しかし私が中学に上がってからは一年どころか三年間、一切家に帰って来なかった。たまに高価なバッグや服をお土産と称して色々送り付けてきて"子供たちのことは忘れていないよ"と言いたげだった。
 姉は喜んでいたが私はそんなお土産なんかよりも、側に居て欲しかった。寂しさで潰れそうな私の側で”ここにいるよ”と優しく頭を撫でて欲しかった。

 私には四つ年上の姉がいる。姉は短大を出て社会人をしていた。私の保護者代わりだーーーーが、そんな姉も昔からちゃらんぽらんで、親が居ないのをいいことによく男の人を家に連れ込んでいた。しかも毎回違う男性を。

「お姉ちゃん。昨日の来た人、また違う男の人だったでしょ? アツシくんかわいそうだよ」

 アツシくんとは最初にお姉ちゃんが家に連れて来た本当の彼氏だ。姉は彼氏がいながら色んな男を誘惑し、味見をする所謂魔性の女。
 姉はソファで塗りたてのペディキュアに息を吹き掛けていたが、私の言葉にゆっくり顔を上げた。

「青いわね、菜摘」
「……なにが」

 姉は足をぶらぶらとさせながらソファの背もたれに倒れ、サイドテーブルに置いていた缶酎ハイを手に取り”ぐびっ”と煽った。
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