強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
「あのねぇ、青春&ピチピチのハタチ真っ只中に親が長期で居ないのよ! こんなチャンスは他の家庭では絶対にありえない、ビッグチャンスなの!」
相変わらず姉の言っていることはよくわからなかった。
「そこでよ、私たちが気持ちよく青春を謳歌するためにルールを作りましょうっ!」
「ルール?」
私が眉を顰めると姉は缶酎ハイを勢いよく天井に傾けもう一口飲むと口角からだらっと零した。
(めんどくさ……相当酔っているな)
私はそっとティッシュを差し出すと姉は少しむくれて一枚引き抜いた。
「そうルール! お互い、不干渉でいきましょう。あんたも今やってみたいことにチャレンジしないさい! 青春は一度っきりよっ! あんなたのやることに口は出さないから。だから私のことも放っておいて」
ただ自分のすることにとやかく言われたくないための提案なのは見え見えだった。
姉は口を拭いたティッシュを丸め、ゴミ箱へと投げた。投げたティッシュは弧を描き、音を立てずにゴミ箱の中へと吸い込まれていった。さすが元女バスなだけはある。
「……やりたいこと」