強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

 仕事が終わり定時で退社した。むしろさせられたが正しい。会社のみんなから「新婚なんだから残業するな」と気遣いをされてしまった。
 まだ明るい帰り道を軽やかに歩き、高級住宅街に聳えるデザイナーズマンションのエントランスを抜けエレベーターに乗る。まだ押し慣れない五階のボタンを押すとエレベーターが上昇するのに合わせ心拍数も上がっていく。

 ここを内見する際、他に見ていた分譲マンションを買っても良いかなと思っていたが、「子供ができたら庭で遊んだりしたいから数年後に一軒家を建てようと」と言われたことが反芻した。

「修一郎さん、私との子供が欲しいってことだよね」

 もちろん修一郎さんはいやらしい意味で言ったわけじゃないだろうが、子作りのことを考えたら恥ずかしくなり顔が熱くなっていく。

 (私ったらはしたないっ!)
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