強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
「それじゃ、いってきます。今日は遅くならないで帰れると思いますので!」
「わかった。気をつけて」
菜摘を玄関まで見送り、リビングのソファにゆったりと腰かけた。せっかくの休日なのに菜摘が仕事で居ない。これといった趣味はないし、することがない。目を閉じて少し考え込む。
そういえば、引っ越してきて夏物の服は段ボールにしまったままだった気がする。そろそろ暑くなってきたし、夏物に入れ替える時期だ。
寝室に向かい、クローゼットを開ける。たしかここへ引っ越してくる際に、段ボールに夏物と書いてしまったはずだ。
辺りを見渡すも段ボール類は一つもなかった。
「ん? ここじゃなかったか……ウォークインか?」
ウォークインクローゼットを開け右側を見る。右は俺のスペース、左は菜摘のスペースと引っ越して来た時に決めた。
棚の上には段ボールが詰まれ”夏物”とマジックで書いてある。
段ボールを下ろし、最初に開けたクローゼット内の引き出しにしまっていた冬物と入れ替え作業を始めた。
三十分ほどで入れ替えが終わり、冬物を詰め込んだ箱をウォークインクローゼットに戻す。
「あ、冬物って書き換えた方がいいか」
リビングからマジックを持って来て書こうとすると、手からマジックのキャップが落ちた。
転がったキャップは菜摘の使用しているエリアへと入って行ってしまった。急いで拾い上げようと屈むとクリーニング済みのカバーが掛かるコートの裏に乱雑に置かれた段ボールが見えた。
「あれって、お姉さんから送られてきた段ボールだよな」
昨日菜摘がウォークインクローゼットで隠していたものはこれなのか? 実家に置いていた服と言っていたがあの焦り方は怪しい。
人の物を勝手に見てはいけないと思いながらも隠し事をされたことに少し苛立ちを感じていた。少しくらいならいいだろうと真相が知りたくてそっと段ボールを手を伸ばした。
「これって……」
段ボールを覗くとルーズソックスや制服が入っていた。