強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
渋谷という街は多種多様な人が溢れかえり、道を尋ねて来る人、通行人同士のいざこざなど常に何かしら起こり忙しい日々を送っていた。
現場勤務の中で一番大変だったのが未成年者の補導業務だった。渋谷は若者の街と言われギャル、ギャル男と呼ばれる者たちが溢れかえり昼夜問わず道端に居座っていた。
何か犯罪が起きてからではまずいと、毎日巡回の時間は目を光らせていた。
そんな中、ギャルサークルと呼ばれる集団の中心人物の少女と出会った。
彼女は口では強気な態度を取り、名前や住所を聞いても頑なに答えようとはしなかった。そのうえかなりすばしっこく、捕まえられない日もあり、毎日追いかけっこが続いた。
彼女はみんなからモテはやされている一方、どこか暗く苦しそうな顔をする時があった。
脆くて危うい年齢の時期だからこそ、目を離してはいけないと彼女に勝手な親心のようなものを抱いていた。