強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

「あの、あなたは昔……」

 話を切り出そうとすると彼女は鞄から名刺を取り出し、裏に連絡先を書いた。

「私、高橋菜摘と言います。本当に助けていただきありがとうございました。お礼がしたいので、是非連絡先を」

 彼女はあの時のガングロギャルなのに、何故か知らない人の振りをしてくる。

 (……俺の勘違いなのか?)

 彼女は長くサラサラと綺麗なダークブラウンの髪を左耳に掛けると、耳輪に三つ小さな黒子が並んでいた。

 (この人は、絶対になつだ)

 うちで勉強をしていたあの子も、左耳の同じ場所に黒子が三つあった。
 俺の疑念は確信に変わった。

 名刺を受け取ると、彼女は「連絡待っています」ともう一度会釈をして去って行った。
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