強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
数回食事に誘い、告白するとOKを貰った。
なつが訪ねて来るかもしれないと引っ越さずにいたマンションに誘えば何か思い出すかもしれないと自宅に招いたが、菜摘は”へ~”と初めて訪れるような素振りで部屋を見渡していた。
「適当に座ってて」
「はい」
キッチンに行き、コーヒーメーカーに豆をセットした。ソファではなくラグマットにちょこんと正座する彼女に思わず顔が緩んだ。またなつが部屋に来てくれたのが単純に嬉しかった。
こうしてまた彼女と出会えたのは運命だ。一度切れてしまった縁が、こうして渋谷の地で再度結ばれたのを運命と言わずなんと言えよう。
コーヒーサーバーに二杯分のコーヒーを落とし終わり、彼女のために買っておいた黄色いマグカップにコーヒーを注いだ。両手にマグカップを持ちラグマットの上に座る彼女に差し出した。
「わぁ! 可愛いマグカップですね」
「あぁ、君のために買ったんだ」
「え、私のために? わざわざありがとうございます。パステルカラー好きなんです。とても可愛いです」
「気に入ってもらえてよかった。君に似合う色だと思っていたんだ。砂糖と牛乳入れるか?」
昔の彼女は角砂糖二つに牛乳を入れた甘いカフェオレが好きだった。
「いえ、ブラックで大丈夫です」
「そうか……大人になったな」
「なんですか急に子ども扱いしてー! 六歳も違えば子供だって言いたいんですかっ!」
「いや、そうじゃないよ。そうじゃない……」
少しむくれる菜摘の頭を撫でるとあの時と変わらない子供っぽく嬉しそうな顔をした。
(たまんないな……)
俺は持っていたマグカップを机に置き、彼女の後頭部を引き寄せキスをした。
「んっ……」
小さく甘い声が漏れる。彼女が持っていたマグカップを受け取りテーブルに置いた。
離れた唇から漏れ出る声に全身の血が沸き起こるようだった。
「菜摘」
視線が絡むとどちらからともなくもう一度唇を重ねた。
「ベッド行くか」
「…………はい」