強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

「ごはんできてますが、食事にされますか? お風呂にされますか?」

 おずおずと頬を赤らめ聞いてみる。結婚したら言ってみたかったセリフの上位群。付け加えるなら最後に”それとも私にしますか?”と言いたかったが、そんなはしたない真似、修一郎さんの前では晒せない。
 修一郎さんは何か考えるようにじっと私の目を見つめてきた。もしかして邪な考えがバレたのか。彼は沈黙を破り、低い声で短く答えた。

「ごはんにするよ」

 彼からコートと鞄を受け取り、汚れはないか確認し寝室のクローゼットの定位置に戻した。
 寝室から廊下に出るとちょうど洗面所から出てきた修一郎さんと遭遇した。ネクタイを取り、ワイシャツのボタンを上から三つ目まで外し胸元を大きく開いた気怠い彼のオフモード。シャツの合間から見える鍛えられた筋肉に息を飲む。眼福でしかない。
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