僕たちには選ぶ権利がある
できることならば、好奇な目で見ていた人たちにXジェンダーのことを説明してそのことについて理解してほしかった。Xジェンダーの割合は、日本の人口である約一億三千万人のうち百十六万人であるとされている。そのため、知らないだけでXジェンダーの人の存在は身近にあるものなのだ。

「揚羽、もしかしてまださっきのこと気にしてるの?」

ジュースとポップコーンを買った優に訊かれ、揚羽は「うん、いつも説明できないからモヤモヤしちゃう」と俯いた。優は友達として悩みを聞いてくれたりしているのに、自分は何もできていない。それが堪らなく辛い。

「映画終わった後、二人でご飯行こうよ。ちょっと話そう」

優がそう言い、揚羽は頷いた。



映画は大人気漫画のものであることもあり、とても面白いものだった。友達みんなで盛り上がり、映画が終わって出口へと歩いている間も話が止まることはない。

「また映画見に行こう!」

「楽しかった〜!」
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