僕たちには選ぶ権利がある
「またね!」

友達は映画館を出て、それぞれ家へと帰って行く。それを見送った後、揚羽と優は映画館の近くにあるファミレスへと入る。家族連れが二組と老夫婦が楽しそうに話しながら食事を楽しんでいた。

「シーフードドリアのセットをお願いします」

「ハンバーグステーキのセットをお願いします」

それぞれ食べるものを注文した後、揚羽が「話って?」と訊ねる。優は水を一口飲み、口を開いた。

「揚羽が、私のために怒ってくれるのは嬉しい。でもね、揚羽が悲しい顔をする必要はないんだよ?いくら友達だからってそこまで背負わなくてもって思ったの。だって、ちょっと特殊な事情があるのは私だけで、揚羽は普通の女の子なんだから」

優は優しい人だから、背負ってほしくないのだろう。こんなことを言ってくれるのだろう。しかし、揚羽は傷付いて泣きたくなってしまった。

「……そんなこと言わないでよ……」

震えた声で揚羽は言う。目の前がぼやけて、いつ涙がこぼれ落ちてもおかしくない。それを懸命に堪え、揚羽は想いをぶつける。
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