弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
大真面目にそんなことを言うから、思わず唇をきゅっと噛みしめた。
あのとき、悲しくて苦しくて、報われなかった思いごと、弓木くんがぜんぶ優しく飲み込んでくれたような気がして。
すーっと、溶けていく。
自分の作ったものを、誰かに喜んで食べてもらえるってこんなに嬉しいことなんだ。
今、弓木くんにこのツナマヨのおにぎりを食べてもらえているのが、あのとき佐藤くんに食べてもらえなかったからなのだとしたら。
────佐藤くんが、あのとき食べずに捨ててくれてよかったのかもしれない、ってはじめて思えた。
「……弓木くん、ありがとう」
「なんで中瀬がお礼言うんだよ」