弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


今、なんとおっしゃいましたか。

目を白黒とさせているうちに、あれよあれよという間に、弓木くんに腕を引かれて連行された先は。



「ここが、弓木くんの部屋……」



モノトーンで統一された、わたしの部屋とは到底似ても似つかない部屋。

全体的に物が少なくてあっさりしている感じが、なんとも弓木くんらしいな、と思った。



「……あ」



ふと目についたのは、抱き枕サイズのハニワのぬいぐるみ。

シンプルの部屋のなかで異様な存在感を放つそれには、見覚えがある。

この前、わたしが、UFOキャッチャーで取ったもの。


本棚の上、ホコリがかぶらないように丁寧に飾られていて、なんだか神棚みたいになっていた。



「何見てんの」

「い、いやー、なにも」



ほんとうに大切にしてくれてるんだって、ちょっと感動したなんて、言えなかった。

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