弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
なのに、弓木くんは妙に落ちつき払っていて、動揺するそぶりひとつなくて。
「明日、何時に起きる?」
普通に、会話を振ってくる。
「1回家に帰らなきゃだめだから、6時、とか」
だから、わたしも普通を装って答えるしかなかった。
「6時な、了解。アラームかけとく」
「……ありがとう」
「ん」
話をふられるのもだめだけど、沈黙は余計にだめだ。
意識が全部、目の前の弓木くんに持っていかれてしまう。
この調子で寝れるわけがないよ。
「あの、弓木くん、わたしやっぱり床で────」
「だめ」
「……!」
弓木くんの腕がわたしの腰を捕まえる。
心臓がばくんと跳ねて、口から出ていきそうになった。