弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


これは、だめだ。

だめだよ、だって、わたし、慣れてないんだもん。


過剰反応なのかもしれないけれど。

でも、わたしにとっては、これでもキャパオーバーで。


せめてもの抵抗で、くるっと体をひねって弓木くんに背中を向けた。



「中瀬」

「ゆ、弓木くんはこんなの平気かもしれないけどね! わたしは、こんなの……。同じベッドで寝るとか、慣れてないのっ。わたしばっかりどきどきして心臓破裂しそうで困るっ!」



恋人のふつうがこれなら、ふつうってなんて難しいの。


耳をふさぎたくなるくらいばくばくいってる心臓のあたりを片手でおさえていると、「はー……」と弓木くんのため息が首のうしろにかかった。


くすぐったくて、ぴくりと体をふるわせると。



「俺が、どきどきしてないとでも思ってる?」



ちょっと呆れた弓木くんの声。

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