弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「だ……っ、だって、弓木くんずっと余裕な顔してるし」

「余裕に見えてんなら、中瀬の目が節穴なだけだろ」

「ふ、ふしあな……!?」

「うそだと思うなら、ほら」



弓木くんの手がわたしの手のひらをそっと掴む。

そして、そのまま連行した。


たどり着いたのは、弓木くんの胸板の上。
固くてがっしりしてる……じゃなくて。



「……っ、わ」



驚いて、勢いよく弓木くんを振り向いた。

相変わらず顔色ひとつ変えていない、のに。


ドコドコドコドコ。


手のひら、ふれたところから伝わる鼓動は、破裂なんてものじゃない、爆発寸前。

信じられないほど早鐘を打っていて、壊れるんじゃないかって心配になるほど。


わたしより、ずっと────。




「……わかった?」
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