弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
対する中瀬は、寝ぼけたところから、やっと俺の存在を思い出したのかわたわた慌てて目を見開いている。
ていうか、呼び方、元に戻ってんだけど。
「このか」
「な、なに……っ?」
「 “弓木くん” じゃないだろ」
「……うぁ」
中瀬の顔が首から赤く染まっていく。
わかりやすく赤くなって戸惑う中瀬を見ているのは気分がいい。
「…………千隼くん、でした」
もごもごと恥ずかしそうに呟く中瀬。
自分から言わせておきながら、破壊力の高さに自滅しかけて、なんとかとどまった。やば。
「ちゃんと寝れた?」
「うんっ、ゆみ────じゃなかった、千隼くんのベッドふかふかで気持ちよくて、気づけばぐっすり……。ゆみっ、じゃない、千隼くんは?よく眠れ……あれ、なんか千隼くん、すごいクマが」
クマに目ざとく気づいた中瀬が、手を伸ばして触れようとする。
こういうところは鋭いんだよな。