弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「愛人じゃないの?」



咀嚼を終えて、ごくっと飲みこんだみかちゃん。



「あ、あ、あいじんって……」



妙に誤解を招く言い方をやめてほしい。



「じゃあ質問を変える。弓木千隼といつから付き合ってるの?」

「つ……! 違うの、そういうんじゃない、千隼くんとわたしは」

「ほら、名前で呼んでる。隠そうたって無駄だよ、このはそういうの向いてない」



ほらカツ丼食え、そんで吐け、とさながら事情聴取シーン。



「ていうか、ウワサになってるって……」


「知らないの? テスト明けたあたりから出回ってるよ。このと弓木くんがじつはずっと前から付き合ってるとか、このの猛プッシュで弓木くんが落ちたとか、なんなら同居しててやることやってるとか────」


「な……っ! デマだよ、デマ、ガセネタ! 根も葉もルーマー!」

「でも、火のないところに煙は立たんでしょ」




どこからどこまでほんとう? とみかちゃんが首を傾げる。




「テスト勉強、一緒にしてたのは知ってる」

「なんでそれ知って……っ」





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