弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「っ、待ってそれどこ情報!」

「さあ? 出どころはわかんないけど。学校中に広まってることはたしかだよ。このが弓木くんと帰ってるとこ見たって……ほら、あの雨がすごかった日」

「!」

「あとは、ゲーセンでふたりでいるところを見かけたっていう目撃情報とか」




壁に耳あり障子に目あり。

どこにでも見ている人っているんだ……とちょっとぞっとする。

文秋砲をくらった芸能人の気持ちが今ちょっとだけわかった気がした。



「で、実際どうなの? 泊まったの?」

「っ、お泊まりはさせてもらいました……」

「わお」


「違うからね!? みかちゃんが考えてるよーな、そういうんじゃ……そーゆーのじゃないからね!?」

「なにを必死に。逆に怪しいよ?」


「うぁ、ほんとにこれは名誉のために弁解しているのであって、なにもやましいことは一切ございませんので」

「なんにもない男女が一晩一緒にいる方がおかしいけどね」

「……う」



そう、みかちゃんの言うとおり。

千隼くんとわたしは “なんにもない” わけじゃなくて。





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