弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「そうなの」
「そうなの、って。意味わかんないから!」
「大丈夫だよ、わたしもあんまりわかってない」
わたしの返答にみかちゃんは顔を曇らせる。
はー……と深くため息をついて、こめかみを自らぐりぐりしてる。
みかちゃんが困ったときによくやるクセだ。
「それさあ、遊ばれてるんじゃないの」
みかちゃんの言葉に、ゆっくりぱちぱち瞬きする。
ぴんと来ていないわたしに、みかちゃんは言葉を重ねた。
「仮なんて中途半端な立場利用してこののこといいようにしようとしてるようにしか思えない。しかも相手は弓木千隼でしょ? あの、“誰とも付き合わない” で有名な。絶対やめておいた方がいいってば」
「……っ」
「ふつうに心配なの。このはいつもいつも変な男にばっかり引っかけられて騙されて……。いい加減、幸せになってほしいの。もっと、ちゃんとした安牌ないい男と」
やめておいたほうがいい、危ないから。
これ以上、近づくのはだめ。
みかちゃんは心の底から心配して言ってくれている。
でも……でも。
「大丈夫、だと思う。千隼くんは」