弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「ほら、やっぱり好きじゃないんじゃん」



どこか……もやもやするような。
納得、いかないような。



「そういえば、阪本(さかもと)のことはもう大丈夫なの?」



ふと思い出したように、みかちゃんが首を傾げる。


阪本というのは、ユウジくんのことである。
阪本ユウジくん、例の元彼です。



「あ……うん、もう平気だよ」




思い出してめそめそすることは、もうない。

十分にふっきれて、廊下でユウジくんが今カノ・ミユちゃんと並んで歩いているのを見かけても、ちくちくすることもいつの間にかなくなった。



「へえ?」



なぜか、みかちゃんが驚いている。



「え、なに、その反応……」

「いや。だって、いつもだったら、私が慰め会ひらくまでずーっと立ち直れないのに。テスト明けたら、焼肉食べ放題にでも連れてってあげようと思ってたんだけど」



そうかもしれない。


失恋してうじうじして、じめじめしてたらみかちゃんがご飯を食べに連れて行ってくれるのがいつもの流れだったのに。




< 134 / 265 >

この作品をシェア

pagetop