弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「あんたさあ、私たちが何のためにあんたのこと待ってたか、わかる?」



とつぜん出題されたクイズ。

回答者にあたるのは、わたし、なんだけど。



「わ、わからないです……」



シンキングタイム5秒のち、そう答えた。

せめてヒントくらいはほしい。



わかるわけないよ……!



困惑していると、何が気に入らなかったのかチッと盛大に舌打ちされた。怖すぎる。




「あんたさあ、自分がどれだけのことしてるかわかってる?」

「は、はい……?」

「無神経に聖域を踏み荒らして、私たちが大人しく黙ってるとでも思った?」



聖域? 踏み荒らす?

もしかして、新手の宗教勧誘かなにか……?



「わ、わたし、そういうのはちょっと……! お高い壺とか買えるようなお金もないですし! 信じるものは己の心だけなので!」



ひらり、身をかわし。


華麗に逃走をきめ────ようとしたのだけど、そんなにうまくいくはずがなかった。

なにせ、相手は5人である。



「逃がさないから」

「……っ」



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