弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「じゃあ、このかからキスして」
「!」
「唇じゃなくていいから、どっか好きなとこ」
そ、そんなこといきなり……!
たしかにペナルティを受けるとは言ったけれども、とあわあわしていると千隼くんの余裕の表情が視界に入ってくる。
ひとしきり慌てるわたしに満足したのか、千隼くんはくすくす笑って。
「冗談。さすがにそこまで無理させたりは────」
無理じゃないもん。
できる、それくらい。
……だから、千隼くんももっとじたばたして。
わたしのことばっかりで頭をうめつくして、おかしくなって。
とん、と千隼くんの肩を押すと、油断していた千隼くんの体は簡単にぐらついて倒れて、なし崩し的にその上にのしかかる。
千隼くんの肩をきゅっと掴んで、それから。
「……っ」
ちゅ、と千隼くんのほっぺにふれるだけのキスを落とした。
こんな大胆なこと、ふつうできない、したことない。
────甘い熱にうかされて、わたしは、どこか故障してしまったのかもしれない。