弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「あのう、どちらさまでしょうか……」
おずおずとたずねると、彼はぱちくりと瞬きをして。
「ふーん、俺のこと知らないんだ」
「え」
「そっかー、俺多少は人気者の自覚あったんだけどなー。うぬぼれだったか、残念だなー」
目もとを手の甲で覆って、「うっうっ」なんて嗚咽をもらすから。
「ごっ、ごめんなさい!」
焦って謝ると、今度は。
「ふははっ、騙されてやんのー。あんなの嘘泣きに決まってんじゃんね」
「!?」
腰を折って、盛大に笑われる。
なんだこの人。
「ななな何者ですかあなたは! ていうか嘘泣きとかずるい!」
「はは、混乱してるの? ピュアだねー」