弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「誰があんなヤローと友だちになんて────……あー、ふつーに、中学同じだっただけ」
「同中なんだ!」
中学生の頃の千隼くんってどんなだったんだろう。
今と変わらず、女の子たちの憧れの的だったんだろうなというのは想像にかたくない。
今よりあどけない千隼くんの姿を、勝手に思い浮かべていると。
「もしかして、きみが中瀬このかちゃん?」
「え、なんで知って」
「へー、この子がねー」
「……?」
「もしかして自覚ない? 今や、一躍有名人の中瀬このかちゃん」
眉間にとん、と逢見くんの指先がふれた。
わたしは頭の上にハテナを浮かべるばかり。
「難攻不落の弓木千隼を落とした唯一の女のコなんでしょ」
「!」
「“あの” 千隼がゾッコンの相手なんだから、そりゃー、誰でも名前くらいは知ってるって」