弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
嘘でしょ。
わたしなんかの名前を知って、どうするんだ。
逢見くんの瞳がじっとこちらを見つめている。
つま先から頭のてっぺんまで、値踏みするみたいに観察された。
「千隼のこと、どーやって落としたの?」
「へっ?」
「めちゃくちゃ美人ってわけでもなければ、頭がいいとかそういう飛び抜けた特技もなさそーだし。どこが千隼に刺さったのかなーって。もしかして脱いだらすごいとか?」
興味津々に顔をずいっと近づけてくる。
さっきから距離感がずっとバグ……!
それに、なんだかさらっと失礼なことを言われたような気がしなくもない。
否定できないのが悔しいところである。
ていうか、そんなの。
「わたしの方が聞きたいよお……」
「なんだそれ。ずいぶん自信なさげじゃん?」
「だって、わたしはせいぜい縄文土器だし」
「ふはは、なにその喩え。おもしろ」
タレ目がきゅっと細まる。
逢見くんって、笑うと幼く見えるんだな。