弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「たしかに、千隼くんはすごいよね。わたしもそう思うもん」
イケメンで、頭もよくて、完璧で?
性格は難あり────だって思っていたけれど、知れば知るほど優しい一面に気づいた。
近づけば近づくほど、新しく知る顔が増えて、最近ではもう……いいところしか見えなくて、困ってるの。
「だけど逢見くんも同じだと思うよ」
「は?」
「ええと、要するに、同じ土俵にのって闘おうとするからだめなんだってこと! 千隼くんがカンストしてる分野で比べたら、そりゃあ、二番手になるのもあたりまえだよ。ていうか、二番手ってすごくない? わたし、人生で上から2番目になれたことなんてまだないよっ?」
2番で嘆いている逢見くんが羨ましく思えてきた。
こちとら常に平均値以下を叩き出す人生だというのに。
……じゃなくて!
「つまりですね、逢見くんにできて千隼くんにできないことに目を向けたらあっという間に逆転、逢見くんが一番ってこと! 逢見くんがいちばんになれることとか、そういう逢見くんをいちばん好きでいてくれるひととか、そっちを大事にしたらいいのになあって」