弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「なに言って……」

「千隼くんが伊万里焼界のトップなら、逢見くんは有田焼のトップってことだよ!」




逢見くんが目を見開いて固まる。

数秒後、あまりに無反応だから、不安になってきた。



わたし、なにか間違えた……?

う、もしかしたら口出ししすぎたかもしれない。説教くさかったかも……。



沈黙に耐えきれず、逃げ出したくなったそのタイミングで、とつぜん、逢見くんの体がふるふると小刻みに震えた。




「ふははははっ、このちゃんの喩え、まーじで変!」

「!?」

「あー、笑った」





よく見れば目尻に涙まで浮かべている。
そ、そんなに笑わなくたっていいじゃん……!


わたしはいたって真剣だったのに……!




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