弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
こじらせジェラシー×みつめるハート
♡
𓐍
𓏸
「遅い!」
「へっ? え、おはようみかちゃん……??」
いつも通りのとある日。
いつも通りの時間(=ぎりぎり教室に駆けこんで間に合う時間)に登校すると、なぜか仁王立ちのみかちゃんに迎えられた。
「こののことずっと待ってたのに全然来ないし、待ちくたびれたんだけど」
「あれっ、なにか約束してたっけ」
「してないけどさー」
してないんかい。
いったい何の用で……と不思議に思うわたしの手に握られたあるものを見つけて、みかちゃんは首を傾げた。
「この、それどうしたの? パスケース?」
「う、うん。じつは、さっき電車乗るときに引っ張ったら、その拍子にひものところがビーンッて引っかかっちゃって、切れちゃって……」
見るも無惨にちぎれてしまったパスケース。
大切に大切に、長い間使っていたお気に入りのものだったんだけど。
長い間使っていたからこそ、劣化してきているのも気づいていた。そろそろ寿命だし買い換えないとなぁ、と思っていた矢先のできごと。
いつ壊れてもおかしくなかったとはいえ、ショックはショックなわけで、今日は朝からツイてないな……とブルーな気持ちなの。