弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「え」

「恋でもしてる? それか、恋でもされてる?」

「っ、や、えと……」

「とにかく、今のこのにはこの色がいちばん似合うと思ったわけ!」




断言されて、リップを見つめなおした。

ヒロインピンク……。




「ありがと、みかちゃん。大切にする!」

「うん。17歳の誕生日、おめでとー」




にこ、とみかちゃんが微笑む。


みかちゃんの純度100パーセントのスマイルは親友といえどウルトラレア。

あまりのかわいさにくらっとしかけたとき────。





「え、このちゃん今日誕生日なのー?」




背後からぬるっと現れた影。
この感じ、この声は。




「出たな、逢見俐央」

「ははは、相変わらずみかちゃんは俺を敵視してんねー」




逢見くん。


あの食堂の一件以来、訳もわからず付きまとわれる日々は終わった。

……けれど、たまたまなのか、狙ってなのか、話す機会はむしろ増えているかも?



無理やりなにかをされることもないし、いやがらせをするつもりもないみたいだから、わたしは友達が増えるなら良いことだよねって思ってるんだけど。



みかちゃんは、初手でわたしが無理やり連れ去られるのを目の前で目撃しているため、逢見くんのことをバチバチに警戒している。

いわば、犬猿の仲だ。





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