弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「う、うるさいよ弓木くん! 見る目くらいあるもん、わたしだって!」

「浮気に二股、付き合ってることすら忘れられたり、デートすっぽかされたり? んで、こんどは味見? 見る目あったら、毎度毎度こんなことなってねえだろ」




いい加減学習しろ、と弓木くん。




「このお……」




正論モンスターめが。

弓木くんが言っていることはもっともである。



自覚だってあるの。
わたしは、正真正銘、恋愛音痴だ。




思い返せば、それは小学生のときから。





わたしの初恋の男の子は、わたしがありったけの思いをこめて書いた便箋3枚にもわたる傑作のラブレターを、わたしの知らないところで男友達と回し読みしてげらげら笑ってた。


中学生のころに好きになった先輩は、わたしに甘い言葉をたくさん囁いてくれたけれど、ほんとうの狙いはわたしの親友のみかちゃんで、みかちゃんの連絡先を教えたとたん、音信不通になってしまった。



わたしの恋のゆくえは、決まってバッドエンド。

むしろ、清々しいくらいに。



失恋マスターというのもあながち間違いではなくて、この世に存在する失恋パターンのほとんどを網羅しちゃったんじゃないかって思うほどで。



「どういう生き方してたらそんなアクロバティックな失恋できんだよ」

「それはわたしの方が聞きたいよ……!」




ていうか、アクロバティックな失恋ってなに……。

そんなところでアクロバティックでもなんの役にも立たないよ、失恋オリンピックがあるわけでもなかろう。


あったら、金メダル間違いなしだけど。



ああ、だめだ、自分で言ってて悲しくなってきた。






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