弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「このちゃん、真っ赤だけど」
「っ、な、なんでもないです……!」
「えー怪しー。てか、そんなかわいい顔、目の前で見せて、俺のこともしかして試してる?」
逢見くんがわたしの顔をのぞきこむ。
逢見くん、鋭そうだからこんな風にまじまじ見られたら、わたしが千隼くんのこと好きだってバレちゃう……!
それでもって、逢見くん、口軽そうだもん、キケン!
「や、あの……っ」
赤くなった頬を手で覆って、逢見くんをちらと見上げる。
どうにかしてごまかさねば、と思うわたしをまじまじ見つめて、逢見くんはこく、と喉仏を上下に動かした。
「そーやって、あんま隙だらけだと────」
逢見くんの瞳にふっと熱が宿った瞬間。
「近づくなって言ったろ」
低い声。
いつの間にか教室から出てきていた千隼くんが、逢見くんの首根っこを掴んでわたしから距離をとらせる。その表情は不機嫌そのもの。
逢見くんは、うわ、と顔をしかめる。