弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


逢見くんの手の感触を上書きするみたいに、千隼くんが何度もその場所に手をすべらせる。



「なんで、あーいう厄介な奴引っかけてんだよ」

「……っ?」

「……惚れる気持ちは、痛いくらいわかるけど。……あ゛ー……わかるから、余計、無理」



耳をすませてもぎりぎり聞こえない声量でなにかを呟きながら、千隼くんはわたしの頭から手を離さない。


相変わらず、千隼くんはキラキラでまわりにはダイヤモンドダストが舞っていて、そんな千隼くんを見ると心臓がもたない。


だけど、千隼くんがあんまり執拗に髪にふれるから、もしかして千隼くんにはわたしがペットか何かに見えているのかも、と思うとチクチクする。




あれ? でも……。

でも、千隼くんって、わたしのことが……。



それは恋心を自覚したわたしにとってあまりに都合がよすぎることで、でも、たしかに千隼くん自身がそう言っていたはずのこと。




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