弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



𓐍
𓏸



「はあ……」




自販機のボタンを押しながら、ため息をつく。
本日何度目のため息だろう。


千隼くんの前では我慢しているけれど、こうしてひとりになると、無意識にこぼれ落ちてしまう。



ミルクティーのペットボトルを取りだすべく、自販機の取り出し口に手を突っ込んで、ずーんと落ちこんだ。




「うあ、間違えた……っ」




ミルクティーのボタンを押したつもりが、転がっていたのはストレートティー。


いつもなら間違えるはずがない。

こんなボタンの押し間違いをしてしまうのも、ずっと千隼くんのことばかりが頭のなかを占めているからで……。


また、はあ、とため息をついたとき。



「あれー、元気ない?」




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