弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「ミルクティーとストレートティーを間違えて……って、逢見くん」

「ん、じゃーそっち俺がもらうよ。ほい」




神出鬼没の逢見くん。


驚いている間に、自販機にコインを投入してぽちっと迷いなくボタンを押す。


そして、ゴトッと落ちたミルクティーを取り出した逢見くんは、わたしの手からストレートティーを奪って、買ったばかりのミルクティーと交換した。




「え……いいの?」

「俺、優しいからねー」




逢見くんは冗談めかして笑う。




「で、このちゃんはなにを悩んでるの」

「ミルクティーとストレートティーを買い間違えて……」


「だけじゃないよね。その程度で、そんな深刻なため息つかないでしょ、このちゃんは」

「っ、いやいや」




ごまかすべく、首を横にふるふる振る。



あ、でも。

逢見くんが、今のわたしの立場ならどうするのかちょっと気になるな。



逢見くんって、いくつも修羅場を切り抜けてそうだし……経験値も高そう。

元カノらしき女の子に水ぶっかけられてたから、参考にはならないかもだけど。




「あの」

「んー?」

「逢見くんは……今、好きなひと、いる?」




< 224 / 265 >

この作品をシェア

pagetop