弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「ミルクティーとストレートティーを間違えて……って、逢見くん」
「ん、じゃーそっち俺がもらうよ。ほい」
神出鬼没の逢見くん。
驚いている間に、自販機にコインを投入してぽちっと迷いなくボタンを押す。
そして、ゴトッと落ちたミルクティーを取り出した逢見くんは、わたしの手からストレートティーを奪って、買ったばかりのミルクティーと交換した。
「え……いいの?」
「俺、優しいからねー」
逢見くんは冗談めかして笑う。
「で、このちゃんはなにを悩んでるの」
「ミルクティーとストレートティーを買い間違えて……」
「だけじゃないよね。その程度で、そんな深刻なため息つかないでしょ、このちゃんは」
「っ、いやいや」
ごまかすべく、首を横にふるふる振る。
あ、でも。
逢見くんが、今のわたしの立場ならどうするのかちょっと気になるな。
逢見くんって、いくつも修羅場を切り抜けてそうだし……経験値も高そう。
元カノらしき女の子に水ぶっかけられてたから、参考にはならないかもだけど。
「あの」
「んー?」
「逢見くんは……今、好きなひと、いる?」