弓木くんはどうやらわたしが好きらしい

逢見くんが、わたしを、好き……？

ぽかんと口を開けて固まるわたしに、逢見くんはふっと笑う。




「知ってる？ 千隼も相当だけどさ、このちゃんも相当だよ。千隼のことばっか考えてますって顔、俺の前でも平気でしてるよねー。それもしょっちゅう。俺と話すようになったときには既にそうだった」


「……っ」

「どう？ 俺に好きだって言われて、ちょっとは揺らいだ？」



もうごまかせない。
素直に首を横にふる。



「……ううん」

「知ってる。このちゃんってさ、ちょろそうに見えて、全然ちょろくないよねー」




それはどういう意味で。

疑問に思うと、逢見くんはすぐに答えをくれた。




「千隼のこと、本気で好きなんでしょ」

「……っ、うん」

「素直すぎ」

「はっ、ごめんなさ────」

「謝らないでよ落ちこむから」




くすくすと笑うから、告白ごと冗談だったのかと一瞬思ったけれど、逢見くんの表情ではっとする。



ほんとうに、わたしのことが……。
それでもやっぱり心は少しも動かなくて。



わたしは。

最初から────千隼くんに好きだと言われて動揺したあのときからずっと、ずっと、じわじわとゆっくりと、確実に、千隼くんに恋に落ち続けていたんだ。

それは、今も現在進行形。




「ってことで、このちゃんはさっさとあいつとくっついてよ」