弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


これじゃあ、振りほどけもしない。

抵抗をあきらめると。




「中瀬、知ってる? 手の繋ぎ方、もう1種類あるって」

「もう1種類?」

「そう。……試してみる?」

「どうやるの?」



興味本位で首を傾げると、わたしの手のひらを覆っていた弓木くんの手が一瞬、ぱ、と離れて。


手のひら同士がゆっくり合わさって……。



「……っ!」



するり、と指と指のあいだに弓木くんの指がすべりこんでくる。慣れないはじめての感覚に、そわそわっとした。



「こうすんの」

「な、なんか……変な感じ、する、ね」



それに、さっきより弓木くんの体が近づいたような。

声が耳に近くて、そわそわする。
ちょっと落ちつかない。



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