弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
クーリング・オフは恋のゆくえ
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𓐍
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千隼くんがいなくなった空き教室でひとり、へなへなとへたりこむ。
床にぺたんと膝をついて、もう一度唇を指でなぞってみる。
「……っ」
キスしたんだ、千隼くんと……。
再確認すると、涙の膜がほろっと決壊した。
滴になって、ぽろぽろと頬をすべり落ちていく。
「ふ……っ、ぇ……」
嫌じゃなかった。
だって、好きなひと、なんだもん。
好きなひととキスできて、嫌な気持ちになるわけがない。
「う……ぁ」
だけど、こぼれる涙が止まらないのは。
────キスをするのは、恋人契約なんかじゃなくて、ちゃんとほんものの恋人同士になってからがよかった。気持ちが通じてからがよかったの。
だって、これじゃあ素直に喜べない。