弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
耳元で囁かれて、体温がぶわっと上がった。
こくこくと頷きながら答える。
「わざわざ嘘つくために、こんなところ、来ない……」
「俺のこと、追いかけてきたの?」
「だって、千隼くんが逃げるからっ」
「かわいい」
「……へ」
ふっと自然に唇が重なりかけて、慌てて制止する。
「待っ、て! 千隼くんは?」
「は? なにが」
「千隼くんの気持ちをちゃんと教えてほし……っ」
涙ながらに訴えると、千隼くんはぱちぱちと瞬きをする。
「ずっと言ってんじゃん、まだわかんねえの?」
「……え」
「俺がどんだけこのかのこと好きか、まだわかんない?」