弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「わ、わかんない……っ、ちゃんとわかりやすく、言ってくれなきゃ、わかんないよ」
「ふは、欲しがり」
「……う」
「いーよ、このかでもわかるように教えてあげる」
千隼くんがぎゅっと、腕に力をこめる。
その苦しさがちょうど心地いい。
それから耳もとに千隼くんが口を寄せて。
「ふつうに、好きすぎておかしくなってんだけど」
「……っ」
「笑った顔がかわいかったから気になった。そっから、ぜんぶ好きになった。……このかさあ、ほんと、どうなってんの?」
「どう、って」
「怒ってても泣いてても、喜んでても、むくれてても、真面目な顔してても、全部かわいいし、常に全力投球なくせに抜けてるところがほっとけなくてかわいいし、真面目に勉強してんのに効率悪いところもかわいいし、流されやすそうに見えて意外と言うことは言うところも────」
「す、すとっぷ! もういい! わかった!満足です!」
濁流のように次から次へと出てくる。
これ以上は、もうだめ。
ゆだって茹でダコになってしまう、わたしが。