弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「だったら……千隼くんの」

「なに?」

「千隼くんの匂い、移してほし……い」

「っ、は」

「あ、あのね、千隼くんと……その、キス、したい、です」




今度は、ちゃんと。

目を泳がせながらねだると、千隼くんはふっと男の子の目になった。

瞳の奥がぐらぐらゆだっている。




「それ確信犯?」

「へ、ぁ……っ」




千隼くんの指が頬をつう、とすべった。

それから理性が切れたように、甘くとろけた目をして。




「あんまかわいーこと言って煽ると、知らないけど」

「……っ、なにが」

「俺もう我慢の限界だから、とっくに」




ちゅ、と最初は軽いリップ音。

体温をなじませるように、ふれるだけのキスが続いて、頭がくらくらしてきた頃に千隼くんがわたしに命じる。




「このか、あーってして」




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