弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「……?」

「くち、開けて」




ふわふわの頭で何も考えられなくて、言われたとおりに口をおずおずと開けば、すぐに千隼くんの舌がすべりこんできた。




「ふ、ぁ、ぁ……っ」

「あー……やば死にそう」

「ん、ふ……っ」




これ、ぜったい上級者のキスだ。
受けとめきれず、腰がくだけて力がぬける。


崩れかけた体を、千隼くんの膝が足の間にすかさず入り込んで、支えてくれた。




「千隼く……っ」




へにゃ、とへたりこんだわたしを抱えて、ようやく千隼くんは唇を離す。

いっぱいいっぱいのわたしを見て、千隼くんは。



「足んねーな」



なんて舌なめずりするから、思わず仰け反ってしまった。



「う、うそ……」



おろおろするわたしに、千隼くんはくっと喉を鳴らして笑う。

その笑顔は、とても満たされていて。


それから、思い出したかのように真剣な顔に戻った。



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