弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「……ごめん、怖かっただろ」
「え……? あ」
さっきの、空き教室でのことを言っているのだとわかる。
わたしは首を横にふった。
「怖くはなかったよ、嫌じゃなかったし……その、千隼くんとちゅー、して、わたしは嬉しかった、し……」
途中からとてつもなく恥ずかしいことを口にしている気がして、もごもごと声量が小さくなる。
千隼くんはというと、手の甲で顔を覆ってしまった。
表情が見えない、けれど、耳がほんのり赤い。
「……可愛すぎんだよ」
小さく呟いた声は聞こえない。
首を傾げると、千隼くんは口角を上げて満足げに言う。
「ようやく、手に入った」