弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
でも、ほんとうに。
自惚れかもしれないけれど、千隼くんに、あ、あいされてる……という実感は、しっかりあって。
わたし、こんなにしあわせでいいのかな、とたまに不安になってしまうほどで。
「ほんと、弓木くんがこのにここまで惚れこんでるとは思わなかったなー」
「……っ、ほ、ほれこんでるって」
「見たまんま事実だから。やっぱり、追われる恋ってしあわせ?」
こてん、と首を傾げたみかちゃん。
追う恋と追われる恋。
はて、と考えたのちにわたしが出した答えは。
「追われる恋だからしあわせ、とかじゃなくて……、相手が千隼くんだから、しあわせ、なんだと思う」
うあ、言ってて恥ずかしくなってきた。
みかちゃんが冷やかしの口笛なんか吹くから、余計に。
でも、ほんとうにそうだと思う。
はじまりがどうであったとしても、相手が千隼くんなら、たぶんわたしは同じ気持ちになるの。
隣の席のいじわるな弓木千隼くんは、いつのまにかわたしのかけがえのない大切なひとになっていた。