弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「執事のかっこ、このかがしろって言うから着たのに、それで妬くとか忙しくてかわいーね」



ううう。


そうなのだ、「めんどくせえ」って執事服を嫌がる千隼くんを「絶対似合うのに……!」と説得したのはわたし。


だけどいざ着こなす千隼くんを目の前にすると、不安になってしまって。



その不安を拭うように、千隼くんはわたしのふわふわに巻いた髪の毛をくるりと指に巻き付けながら。




「心配しなくても、俺がたぶらかすのはこのかだけ」

「た、たぶらかされてない……!」

「ふーん、俺はたぶらかしたいけど」




何言って……。

思わず固まったわたしを、頬杖をついて眺めながら。




「ていうか、このかの方がさー……」

「……?」

「はー……、来い」




ぐい、と引かれてカーテンの裏、まだ誰もいないバックヤードに連れてこられる。




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