弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「さっきから、じっと見てるから。飲みたいなら、どーぞ」
弓木くんが、飲みかけのキャラメルバナナオレを差し出してくる。
弓木くんを見つめていたのであって、キャラメルバナナオレを見つめていたわけじゃなかったんだけど。
でも、今さら違うとも言えなくて。
「あ、ありがとう」
「ん。俺も、いちごミルクひと口ちょーだい」
「えっ? う、うん。どうぞ」
深く考えずに、ドリンクを交換して。
口をつけようとして、気づく。
これ、ストロー1本しかないやつだ……!
内心あわあわするわたしを他所に、弓木くんは迷いなくストローを口に含んだ。
「甘」
「う、うん……いちごの味がするよ……」
「ふは、いちごミルクなんだから、当たり前だろ」
なんで、わたしがこんなにドギマギしなきゃいけないんだろう。
訳がわからないことを口走るわたしに、弓木くんはおかしそうに笑った。