弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「それ、飲まないの?」

「の、飲みます!」



弓木くんに首を傾げられて、あわてて、キャラメルバナナオレに口をつけた。

弓木くんのことは一旦考えないことにして……。



「わ、美味しい! これ、すっごくおいしいねっ?!」



ミルクシェイクとキャラメルソースが相性ばつぐん。

そこにバナナの果肉とクランチチョコレートまで入って、びっくりするくらいおいしい。


ぱっと目を輝かせたわたしに、弓木くんは口角を上げる。



「だろ」



ちょっと自慢げ。



「なんで弓木くんが得意げなの……」

「中瀬、こういうの好きだと思って選んだから」

「へっ?」



どういう意味。



「気に入ったなら、全部飲んでいいよ、ソレ」

「えぇっ?! でも、これ、弓木くんの……」

「最初からそのつもりで買った」



そのつもりって……。
わたしにくれる、つもりで……?

やっぱり変だよ、弓木くん。
どうして、そんなに、優しいの?




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