弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
だけど、そんなユウジくんの隣には。
「その子……」
「ああ、俺の彼女。昨日、あのあと付き合いはじめたんだよなー」
「……っ、そう、なんだ」
かわいい女の子。
華奢で肌がまっしろで、わたしなんかより、ずっと。
ユウジくんの隣に並んでいても、遜色なくて……。
『悪い。やっぱ、このかのこと女として見れねえわ』
『お前みたいなのは味見くらいでちょうどいいんだよな』
ユウジくんに言われたせりふがフラッシュバックする。
納得してしまうわたしがいた。
たしかにこんな平々凡々なわたしは“女として見れない”し、“味見くらいでちょうどいい” のかもって。
「ホントはさ、このかと付き合ってたときからミユのこと可愛いなってずっと思ってたんだよね。このかは俺のことが好きで好きで仕方ないって感じで、そこが面白かったけど。でも、やっぱ別れて正解だったわー」
「う、ん」
かわいい彼女の名前はミユちゃんと言うらしい。
ユウジくんの声がわんわんと頭のなかでこだまして、うまく理解できない。
ぎこちなく笑って、頷くことしかできなくて。
「てか、お前もやることやってんじゃん。隣にいるの、新しい彼氏だろ? 昨日の今日で。このかのいいところなんて、愛が重いところだけだったのに、結局お前も男なら誰でもいい軽い女なんじゃん。なんの魅力もねーな」
ちがう。
違うもん。
心のなかで反論するけれど、声にする勇気も出ない。
たとえ声にできても、むなしくなるだけな気がして、ぐさり、ぐさり、突き刺さってくるユウジくんの言葉をただ受けとめて、うつむくと。
「っ!? 痛っ!」
突然、ユウジくんの口からまぬけな悲鳴が上がる。