弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「テメエにこのかの何がわかるんだよ、知った口きくんじゃ」

「────少なくとも、中瀬のことは、俺の方が見てる」



淡々と、言ってのけた弓木くん。

ユウジくんの方がたじろぎ始める。



「意味わかんねーし」

「お前、絶望的に見る目ないねってこと。中瀬は世界でいちばんかわいいのに、みすみす逃してさ」

「はあ? あっそ、どうでもいいけど」



興ざめだ、とユウジくんは背中を向けてどこかに行ってしまう。

新しい彼女のミユちゃんは、慌ててその背中を追っていた。

そして、その場に取り残されたわたしと弓木くん。




「あの……弓木くん、ありがとう」

「は? なんで」

「かばってくれたんだよね、わたしのこと」

「……あー。いや、別にそんなんじゃねえから」
< 38 / 265 >

この作品をシェア

pagetop