弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「テメエにこのかの何がわかるんだよ、知った口きくんじゃ」
「────少なくとも、中瀬のことは、俺の方が見てる」
淡々と、言ってのけた弓木くん。
ユウジくんの方がたじろぎ始める。
「意味わかんねーし」
「お前、絶望的に見る目ないねってこと。中瀬は世界でいちばんかわいいのに、みすみす逃してさ」
「はあ? あっそ、どうでもいいけど」
興ざめだ、とユウジくんは背中を向けてどこかに行ってしまう。
新しい彼女のミユちゃんは、慌ててその背中を追っていた。
そして、その場に取り残されたわたしと弓木くん。
「あの……弓木くん、ありがとう」
「は? なんで」
「かばってくれたんだよね、わたしのこと」
「……あー。いや、別にそんなんじゃねえから」